SSブログ
タイトル:ナ行 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

夏時間の庭 [タイトル:ナ行]

L'heure d'été (2008年)
監督:オリヴィエ・アサイヤス
出演:シャルル・ベルリング、ジュリエット・ビノシュ、ジェレミー・レニエ、エディット・スコブ
heuredete_2.jpgheuredete.jpg
有名な画家を叔父に持つ母が遺した価値ある遺品の扱いを巡る3兄姉弟の姿を描くフランス映画。
早い話が遺産相続の話なのだが、骨肉の争いを描くわけではなく、時代の流れとともに変化する価値観の違いをどう処理するかという哲学的な話。
キャラクター設定が曖昧だったり、急に話が飛ぶなど展開にも難があり、映画としての完成度は低いが、そのメッセージ性には興味深いものがある。

ある人にとっては価値あるものも、別の人にとっては無価値であり、価値観の押し付けはその物自体にとって不幸なことであると美術品を例にして語っており、伝統や文化という言葉だけを持って全てを正当化することは、個人的に嫌いな性質なので、なかなか奥深いと思った。

オルセー美術館開館20周年を記念して製作された作品で、数々の美術品が登場するが、あくまで映画の背景の一部として贅沢な使われ方をしているにすぎないので、美術品鑑賞目的で観ると不満が残るであろう。
しかし、肝心なのは、棚や机、花瓶などは使用されてこそ価値があり、美術館でガラスケース越しに鑑賞するものではないという描き方をしている点であり、一見矛盾する見解が興味深い。
おそらく、オルセー美術館としては、作品本来の価値のわからない人が投資目的で保持するくらいなら、美術館で展示して多くの人に見てもらう方がまだましという立場なのだろう。
芸術に対する造詣の深いフランスのお国柄が出ていると思った。

夏時間の庭 [DVD]

夏時間の庭 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD



余談を読む


ニューヨーク、アイラブユー [タイトル:ナ行]

New York, I Love You (2009年)
監督:シェカール・カプール、ブレット・ラトナー、ミーラー・ナーイル、岩井俊二、他
出演:アンディ・ガルシア、ナタリー・ポートマン、オーランド・ブルーム、マギー・Q、ジェームズ・カーン
nyiloveyou.jpgnewyorkiloveyou.jpg
世界一有名な都市ニューヨークで暮らす人々の愛を綴るオムニバス映画。
短編集なので、ストーリーを楽しむという訳にはいかないが、有名俳優達の口から次々と繰り出される会話の妙を楽しむことができる。
各監督の個性が前面に出ているからか、統一性は見られず、バランスが悪いようにも感じられるが、観た者にとって気に入ったエピソードがあればそれで良いのだろう。
ただ、監督に国際色が豊かな面々が揃った割には、キャストは基本的に白人中心となっているのは、人種のるつぼと言われる都市が舞台だけに、少々残念で、もっといろいろな人種の知らない世界が観たかった。

本作は、2006年作「パリ、ジュテーム」の姉妹編にあたり、お次は上海が舞台らしい。

続きを読む


ニュームーン/トワイライト・サーガ [タイトル:ナ行]

The Twilight Saga: New Moon (2009年)
監督:クリス・ワイツ
出演:クリスティン・スチュワート、ロバート・パティンソン、テイラー・ロートナー
newmoon_3.jpgtwilightsaganewmoon.jpg
女子高生とヴァンパイアの禁断の恋を描く青春純愛映画のシリーズ第2弾で、ヴァンパイアの恋人が去り、傷心のヒロインの支えとなった親友は狼男だったというお話。
障害のある恋愛物語が、恋のライバルとして狼男が登場することにより、純愛色よりもファンタジー色が強くなってしまい、やや拍子抜けしてしまう。
また、ヴァンパイアと狼男の協定と対立、人を襲うヴァンパイアと共存を目指すヴァンパイアの対立となると、「アンダーワールド」と同じ世界でますます新味がなくなり、同作では狼男役だったマイケル・シーンがヴァンパイア役という安易なキャスティングもどうかと思う。
ヴァンパイアや狼男といった話は嫌いではないので、退屈することはないが、面白みに欠ける展開となった。ただ、4部作らしいので、起承転結の承という繋ぎのパートに過ぎないと思えば、因縁の敵ヴィクトリアやダコタ・ファニングの出番が増えそうな第3作に期待したい。


脳内ニューヨーク [タイトル:ナ行]

Synecdoche, New York (2008年)
監督:チャーリー・カウフマン
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、エミリー・ワトソン、ミシェル・ウィリアムズ、キャサリン・キーナー
synecdocheny.jpgsynecdochenewyork.jpg
私生活で問題を抱える舞台監督が、自身の手がける舞台と現実の区別がつかなくなる話かな。
「マルコヴィッチの穴」や「アダプテーション」など一風変わった作品の脚本を手がけ、その独特の世界観がよくわからないながらも、楽しかったC・カウフマンの初監督作品。
当然、本作の脚本も当人が手がけており、やはり、よくわからない世界が描かれている。しかし、他作品と違って、そのわからなさの中に面白みを見出すことができず、どちらかと言えば、痛々しさのようなものが前面に出ているような感じで、いろいろな意味で、観ているのが辛い2時間だった。
タイトルには、ニューヨークとあるものの、ニューヨークらしさは感じられず、監督の頭の中をそのまま、監督目線で映像化したという感じで、とにかくわからない。

ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛 [タイトル:ナ行]

The Chronicles of Narnia: Prince Caspian (2008年)
監督:アンドリュー・アダムソン
出演:ベン・バーンズ、ジョージー・ヘンリー、ウィリアム・モーズリー
narnia_pc_1.jpgprincecaspian2.jpg
C・S・ルイス原作のファンタジー小説の映画化第2弾で、カスピアン王子の角笛によって呼び戻された4兄弟姉妹が、テルマール人の侵攻により崩壊寸前の危機にあるナルニアを救うという話。
今回は敵が人間ということもあり、いかにもファンタジーという感じだった前作に比べると、シリアス傾向にある。背景に人間対自然という構図があり、自然を破壊し、他の種族を滅ぼす人間に対し、自然が逆襲するというメッセージが込められていると考えてよいだろう。
原作が出版されたのは、1950年代ということで、当時はまだ環境破壊などあまり問題にされていなかったと思われるが、その時代に既に警鐘を鳴らしていた作者の先見性に驚かされた。
クライマックスの動く森や氾濫する川の描写は宮崎アニメを思い起こさせ、宮崎駿氏もC・S・ルイスの影響を大いに受けているのであろうと感じる。
それとも、映画オリジナルの設定で、監督が宮崎アニメの影響を受けているのだろうか?

とりあえず、上の兄姉は今作でお役御免のようで、来年公開予定の第3弾「The Voyage of the Dawn Treader」には出ない模様。
原作は全部で7作あるようだが、果たしてどこまで映画化されるのだろうか。

続きを読む


ノウイング [タイトル:ナ行]

Knowing (2009年)
監督:アレックス・プロヤス
出演:ニコラス・ケイジ、ローズ・バーン、チャンドラー・カンタベリー、ララ・ロビンソン
knowing_2.jpgknowing.jpg
50年前のタイムカプセル内にあった1枚の紙に羅列された数字にはとてつもない意味があったというディザスター・ムービー。
その数字とは、過去50年間に起きた災害の年月日、犠牲者数、位置で、最後の3つはこれから起きるとわかり、主人公は何とか阻止できないかと奮闘する。

昨年、多く見られたアメリカ映画における終末思想はまだ続くようで、本作も、他の作品同様、主人公が災害を未然に阻止するヒーローとならないのは、最近の現実志向を表わしており、この手の思考の起源となっているのは、やはり、9.11なのだろうと感じる。そして、その絶望の度合いはエスカレートしているようで、映画史上、最大の死者数となる作品の登場となった。

肝心の内容に関しては、50年前の不気味さを漂わせたシーンに始まり、現代のシーンに移ってからも、謎の数字の意味に気付き、惨劇を阻止しようと試みる主人公の様子を描く中盤までは興味深い展開を見せる。しかし、終盤に向けて、宗教色が濃くなっていくので、乗り切れない部分があり、また、宇宙人の登場が「地球が静止する日」を思わせ、安易な感じがすることもあり、どちらか一つで良かったのではないかと思う。
その一方で、映像には定評のある監督だけに、見応え充分の迫力あるシーンが続き、中でも、予告編で流れていた飛行機事故のシーンは迫力があり、不謹慎だが、美しさを感じさせ、予告で見せてしまうのはもったいないと思った。

「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」が今、作られていたら、隕石は地球に衝突するのだろうか。

続きを読む


ニューオーリンズ・トライアル [タイトル:ナ行]

Runaway Jury (2003年)
監督:ゲイリー・フレダー
出演:ジョン・キューザック、レイチェル・ワイズ、ダスティン・ホフマン、ジーン・ハックマン
runawayjury.jpgrunawayjury.jpg
銃乱射事件の犠牲者の遺族が銃器メーカーを相手に起こした訴訟の行方を独自の視点で描いたリーガル・サスペンス。
90年代にエンターテイメント性に富んだ映画化にもってこいの内容の作品が、旬のスター主演で次々と映画化され、ヒットした元弁護士の作家ジョン・グリシャムの小説が原作。
アメリカの法廷劇には昔から面白い作品が多いが、その理由の一つに陪審員制度の存在があると思われ、本作も「逃げる陪審員」という原題が示す通り、ある思惑を抱いて陪審員となった男を中心に予測不能の物語が展開していき、楽しませてくれる。
また、本作に登場する陪審コンサルタントという職種には興味深いものがあり、映画の面白さを引き立てている。陪審員候補者の素行調査をし、誰を選ぶべきかを弁護士にアドバイスしたり、有利な評決の為には、選ばれた陪審員を買収や脅迫をするなど法律違反も辞さないその姿勢に驚かされる。
これに、原告・被告双方の弁護団に「陪審評決を売ります」と持ちかけてくる謎の女性が絡み、通常の法廷劇とは違い、弁護士以外の人々が繰り広げる駆け引きがスリリングに描かれ、2時間を越える長さを感じさせない。
主役から脇役まで、キャストも充実しており、見覚えのある顔が次々と登場するのがうれしい。(今回、初めて気付いたが陪審員の1人に「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールスがいた。しかもセリフがない)
改めて言うもでもないが、脇に回ったオスカー俳優G・ハックマンとD・ホフマンが対峙するシーンは迫力があり、見応えがあった。そのG・ハックマンは本作の後、日本未公開のコメディが1本あるだけで、以降、映画には出ておらず、引退したという話も聞いた覚えがなく、どうしているのか気になる。

ナイロビの蜂 [タイトル:ナ行]

The Constant Gardener (2005年)
監督:フェルナンド・メイレレス
出演:レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ダニー・ヒューストン、ビル・ナイ
constabtgardener.jpg
慈善家の妻がケニア奥地で殺害され、その真相を調べようとする夫のイギリス外交官の姿を描く。
映画は、スパイ小説でお馴染みのジョン・ル・カレの小説を原作としているが、妻の死の真相を探っていくうちに妻への愛を再確認する夫の姿を描くラブストーリーという印象が強く、サスペンス色は薄く感じられる。
妻への贖罪や大企業の巨悪を前にした無力感、同僚の裏切りなどいろいろな悲しみが描かれ、主人公の最後の選択に集約されている。
あくまで、フィクションなのだが、描かれる内容はかなり現実に近いものがあるのではないだろうか。近年はアフリカの惨状を描いた作品が少なくないが、本作で描かれる一件もかなり衝撃的で、ケニア国民を指して「どうせ死ぬ運命だ」というセリフが非常に重い。
大企業の利益は先進国を潤わせ、そのためには、後進国の人命は軽視される。先進国の寿命が延びる背景には後進国の犠牲があるということを肝に銘じなければならない。


NEXT -ネクスト- [タイトル:ナ行]

Next (2007年)
監督:リー・タマホリ
出演:ニコラス・ケイジ、ジュリアン・ムーア、ジェシカ・ビール
next.jpgnext.jpg
2分先の自分の未来が見える男が、愛する女性を守る為、FBIと協力し、テロリストに挑むサスペンス・アクションで、原作はフィリップ・K・ディックの短編小説
言葉は悪いが、非常に馬鹿馬鹿しいストーリー(脚色)な上、ラストは観客を置いてきぼりにしたも同然なので、開いた口も塞がらないとはこのことかと、アメリカで大コケしたのも大いに納得。
キャラクターに目を向けると、主要の3人は皆、どうかしているとしか思えず、トーマス・クレッチマン演じるテロリスト(傭兵)が一番、まともに見える。
そもそも、主人公は、テロの脅威から国を守りたい愛国者ではなく、800万人と推定される犠牲者を救いたいという正義漢でもなく、ただ予知夢で見た女性に惚れたしがないマジシャンに過ぎないのだから、テロとの戦いという大掛かりな設定を持ち込んだのが間違いで、もっと日常的な犯罪に留めておくべきだった。
冒頭の、カジノから逃亡するシーンはスリルもあったが、以降、どんどんエスカレートしていった結果、サスペンス色が失われ、笑えないコメディになってしまった。

ナイト ミュージアム [タイトル:ナ行]

Night at the Museum (2006年)
監督:ショーン・レヴィ
出演:ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ、カーラ・グギーノ
nightmusium_2.jpgnightatthemuseum.jpg

ニューヨークの自然史博物館の夜警となった男が遭遇する出来事を描いたコメディ
博物館の展示物が夜中になると動き出すというアイディアは最高で、芸達者なキャスト達のオーバーな演技が面白い。
ただ、父子の絆の復活というアメリカン・コメディではよくあるテーマが背景にあるのが邪魔に感じ、個人的には「トロピック・サンダー」のようにハチャメチャな路線で最後までいって欲しかったと思う。
ファミリー路線のおかげか、日本でもそこそこヒットし、ワシントンのスミソニアン博物館に舞台を移した続編が今夏公開予定。

ついでに


前の10件 | 次の10件 タイトル:ナ行 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。