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シャークウォーター 神秘なる海の世界 [タイトル:サ行]

Sharkwater (2006年)
監督、撮影、出演:ロブ・スチュアート
sharkwater.jpgsharkwater.jpg
絶滅が心配されるサメの保護を訴えるドキュメンタリー。
映画界において、サメとワニは人間を襲って喰う凶暴な生物として知れ渡っているが、ワニと違って、サメが人を襲うのは極めて稀なことで、この間違ったイメージを植えつけた責任は、「ジョーズ」を撮ったスティーブン・スピルバーグにあるというのは冗談。
サメがおとなしい生物であるというのは真面目な話で、人間を襲うどころか、寧ろ、一般には人間を避ける神経質な生物であり、逆に人間の方がサメを殺戮しているというのが現実らしい。
どういうことかと言うと、高級食材と謳われるヒレ(所謂フカヒレ)を取る為に乱獲されているのである。周知の通り、ヒレは高級料理として有名なフカヒレスープの材料となったり、漢方薬として使われている訳だが、フカヒレ自体に味はないし、漢方としての効能もないというのが一般的な説で、高級というイメージだけが先走っているのが実態である。
サメはヒレ以外に売れる部位はないので、捕獲されるとヒレだけカットされて遺棄される。つまり、生物の手足を切断して、放置するという残虐極まりない行為が世界各地の海で公然と行なわれているのである。

R・スチュアートと日本では悪名高きシーシェパードの行動もあり、現在では、16カ国でヒレカット漁法は禁止されたようだが、サメを保護しようという動きは国家レベルではない。
同様に絶滅が危惧され、IWC(国際捕鯨委員会)という国際的な機関まで設立されて、世界規模で保護されているクジラとは全く対照的である。この差はどこから来るかと言うと、国家の財政に有益か否かである。食べる部分の多いクジラの捕獲を禁止すると、代替食料として、牛肉などの輸出につながるし、水面にいることが多いクジラは、ホエールウォッチングのような観光資源として国の役に立つのに対し、サメにはそれがないのである。一種の生物だけを保護することが、地球の生態系を脅かすことは、今日、誰でも知っているが、政治には関係ないことなのだ。

人類が奇跡の惑星とも言われる地球で生きていられるのは海のおかげである。その海に人類が誕生するよりも遥か昔の4億年も前から存在するサメは、地球の生態系の進化に大きな寄与をしていることは間違いない。そのサメが絶滅するようなことがあれば、人類の存亡に繋がりかねないという作者の主張を大袈裟と言えるだろうか。
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オカピー

こちらへもトラコメ有難うございました。

小学生の時に環境保護に目覚め、動物も大好きな小生です。
しかも、スチュワート君の主張はほぼ正論であると思うので、ここまでヨロシイです。
しかし、シーシェパードのプロパガンダみたいになっちゃあいけません(彼らが正しいか否かに拘らず)。
扱いをちょっと間違えちゃったという印象。
by オカピー (2009-08-23 00:11) 

hash

オカピーさん、こんばんは。
コメント&TBありがとうございます。
>プロパガンダ
字幕では「シーシェパード」と一切出ていなかったのは、配給会社の抵抗でしょうか。^^
by hash (2009-08-23 00:44) 

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