SSブログ

消えた天使 [タイトル:カ行]

The Flock (2007年)
監督:アンドリュー・ラウ
出演:リチャード・ギア、クレア・デインズ、ケイディ・ストリックランド
flock.jpgflock.jpg
性犯罪者を監視する公共安全局(DPS)の職員の苦悩を描いたスリラー
映画でも引用されている「深淵を覗く者は、深淵に覗かれている」というニーチェの格言のごとく、性犯罪者の監視という職務を長年務めるうちに、その行動が問題視され退職に追い込まれた職員が、最近起きた少女失踪事件の犯人が、自分の監視対象者の中にいると確信し、後任の女性職員を巻き込んで捜索に奔走するというストーリーだが、この手の異常犯罪を扱った作品は過去にもたくさんあるので、特に目新しさは感じないものの、所々で挿入されるメッセージには興味深いものがある。
アメリカでは性犯罪歴のある者は居住場所を登録し、それを市民が確認できるシステムになっているが、誰でもインターネットで簡単に調べられるので、性犯罪者が同じ性癖を持つ者を探す為に使われているとか、同じ問題を抱える者が集まり、互いの胸の内を明かすことで、解決しようとするセラピーが、情報交換の場として悪用されているなど、映画では、犯罪を抑止する為に作られたシステムの問題点を暴き出していく。セラピーはともかく、登録制度は日本でも導入するべきかと思っていたが、このような現実を知らされると考え直さざるを得ない。
本作の主人公は警察関係ではないので、犯罪ドラマながら、司法機関による捜査というものは描かれず、逆に捜査に協力しようとする主人公を邪険に扱う存在として描かれている。実際に警察は犯罪と証明されるまでは、本格的な捜査は行なわないものなので、犯罪を抑止する制度というのは大変重要だと思われ、日本も凶悪犯罪が後を絶たないだけに、この手のダークな内容の犯罪ドラマを観るたびに、もっと効力のある制度が必要ではないかと考えさせられる。

余談になるが、人気歌手アヴリル・ラヴィーンが出演していて、名前も4番目にクレジットされているのだが、その役柄には驚かされる。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 2

オカピー

トラコメ、有難うございました。

>捜査
監察官のそれは捜査ではなく調査なので、拙稿の記事をちょっといじりました。^^

職業紹介の一編として興味深く見られる要素もありますし、その過程でご指摘のように米国犯罪事情の一端がよく理解できますね。
昨晩観た「ディスタービア」でも監視システムを足首にはめられますが、性犯罪者ではあるまいし、あれはちょっとやりすぎの思いあり。日本のチンピラ達には全員つけたいですけどね(爆)。
by オカピー (2008-10-19 23:58) 

hash

オカピーさん、こんばんは。
コメント&TBありがとうございます。
>監視システム
広大な土地と犯罪者の数の多さ故の苦肉の策なのかと思いますが、結局、いたちごっこになっている感じです。
映画としての面白みは少ないですが、問題提起という点では興味深いものがある作品でした。
by hash (2008-10-20 21:20) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。