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バベル [タイトル:ハ行]

Babel (2007年)
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、アドリアナ・バラッザ、菊池凛子
babel2.jpgbabel.jpg
旧約聖書にある“バベルの塔”をモチーフにモロッコで起きたアメリカ人観光客銃撃事件に関わりを持った人達を描く群像劇。
海外はもとより、日本国内でも高い評価を受けている映画だが、どの辺が評価されたのかイマイチわからない。
内容から伝わってくるのは、メキシコ人乳母のセリフにもあった「悪人じゃないけど愚かなことをした」という人間の本質で、特に感銘を受けるようなことではない。
また、モロッコ、メキシコ、日本という人種も言葉も違う国の話を関連付けた構成を“想像を超えたケミストリー”と評されているようだが、ただ強引に関連性を持たせただけで、本当は3つの独立した短編集にすぎず、相互作用はみられない。時間軸をずらした構成にしてあるので3つの話が平行して起きたようにもみえるが、実際には順を追って起きた事であり、時間の交差はなく相互に作用するものではないと思う。
そして、それぞれのパートで描かれているのは、陽気なメキシコ人が見た世界の縮図といった感じで、状況の如何に関わらず、感情を露骨に表現するアメリカ人をB・ピット、口数が少なく、自己表現な下手な日本人を菊池凛子、そしてモロッコ人(イスラム教徒)を村民を拷問したり、子供に対しても容赦なく発砲する警官に置き換えているだけのように思う。
日本の描写を見てもわかるように、おそらく映画の描写とモロッコの現実はかなり違うものであろうと想像でき、おそらく、メキシコの話以外は、ろくにリサーチもしないで、欧米人のイメージ通りの外国を描いただけであろう。
つまり、聖書の一節をモチーフにしたストーリー、複数の話をまとめる群像劇、時間軸をずらした構成、西洋人のイメージ通りの外国描写という近年、評価されるパターンを踏襲した映画であり、こうやって映画を作れば、高い評価が得られるというメキシコ人の監督と脚本家によるアンチハリウッドの確信犯的作品ではないかと思うのは考えすぎだろうか。
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コメント 2

オカピー

TB致しました。

僕の思うところでは、本作の主題は、聖書時代の言葉によるコミュニケーション不全に変わる、現代的なコミュニケーション不全が現在の世界を混沌に陥れているということで、モロッコとメキシコの描写が問題提示、日本はその答えという構成を取ったものと思います。だから日本の部だけ異様に独立性が高いわけです。

しか~し、だからと言って、この作品が世間で言われるほど価値があるとは思いません。hashさんの仰っていることには全く同感です。
こうすれば受けることを知って作っていると思われ、彼らの入り組んだ構成を取る手法は昔から僕は懐疑的、否定的なんです。
我が意を得たり! 握手したいです。
by オカピー (2008-03-02 03:42) 

hash

オカピーさん、こんにちは。
コメント&TBありがとうございます。
世間では高く評価されている作品だけに、否定的な感想に同意して頂き、心強いです。
宣伝コピーに「届け心」とありますが、私の心に届いたのは、無理矢理な展開から生じる強引さだけでした。
by hash (2008-03-02 15:38) 

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