プレステージ [タイトル：ハ行]
The Prestige (2006年)
監督：クリストファー・ノーラン
出演：ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン
19世紀のロンドンで、確執のある２人のマジシャンの人生を賭けた争いを描くサスペンス
何と言っても、時間軸をずらした構成の見本とも言えるC・ノーランと弟ジョナサン・ノーランの脚本がすばらしい。近年のサスペンス映画はラストにどんでん返しがあって当たり前のような風潮があるので、本作もそこが見所であるかのように宣伝されていたが、本作の場合は飽くまで、２人の男の攻防が見せ場なので、その見所は全編に渡っていると思う。
C・ベイル扮するボーデンが双子であることは随所にヒントがばら撒かれているので、おおよその予想はつくようになっているし、人間コピー機の存在も途中で明かされているので、H・ジャックマン演じるアンジャーが死んでないことも予測できるようになっていることから、ラストのオチに意外性を持たせていない作りになっているのは明らかで、２人の男が互いを出し抜こうと、いろいろ仕掛ける嘘を楽しむのが正しい見方ではないかと思う。
上手な嘘は、嘘で固めるのでなく、真実を混ぜるといいという話は有名だが、本作もマジックの種明かしをしていたり、ニコラス・テスラという実在した人物を登場させることで、フィクションという嘘に現実味を持たせている。
映画では、タネのわかったマジックはつまらないと言っているが、映画でも同じことが言え、一般にサスペンス映画はオチがわかってしまうと楽しめないものだが、本作の場合、随所に散りばめられた伏線が見事なので、２度目の鑑賞でも充分に楽しめた。
また、昨年、劇場で観たときは、面白い映画だが、人間コピー機はいかがなものかと不満に思ったが、そもそも、瞬間移動機という非科学的なものを作ろうとした際の副産物であるのだから、全くマイナス要素にはなっていないと気付かされた。
突拍子もないどんでん返しで話を締めくくる反則的なサスペンスも少なくない中、本来のスタイルを披露した正統的なサスペンス映画と言える。
映画の冒頭と最後に使われるマジックの３つの秘訣 “Pledge、Turn、Prestige” とは、サスペンス映画の秘訣でもあるのだろう。
監督：クリストファー・ノーラン
出演：ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン
19世紀のロンドンで、確執のある２人のマジシャンの人生を賭けた争いを描くサスペンス
何と言っても、時間軸をずらした構成の見本とも言えるC・ノーランと弟ジョナサン・ノーランの脚本がすばらしい。近年のサスペンス映画はラストにどんでん返しがあって当たり前のような風潮があるので、本作もそこが見所であるかのように宣伝されていたが、本作の場合は飽くまで、２人の男の攻防が見せ場なので、その見所は全編に渡っていると思う。
C・ベイル扮するボーデンが双子であることは随所にヒントがばら撒かれているので、おおよその予想はつくようになっているし、人間コピー機の存在も途中で明かされているので、H・ジャックマン演じるアンジャーが死んでないことも予測できるようになっていることから、ラストのオチに意外性を持たせていない作りになっているのは明らかで、２人の男が互いを出し抜こうと、いろいろ仕掛ける嘘を楽しむのが正しい見方ではないかと思う。
上手な嘘は、嘘で固めるのでなく、真実を混ぜるといいという話は有名だが、本作もマジックの種明かしをしていたり、ニコラス・テスラという実在した人物を登場させることで、フィクションという嘘に現実味を持たせている。
映画では、タネのわかったマジックはつまらないと言っているが、映画でも同じことが言え、一般にサスペンス映画はオチがわかってしまうと楽しめないものだが、本作の場合、随所に散りばめられた伏線が見事なので、２度目の鑑賞でも充分に楽しめた。
また、昨年、劇場で観たときは、面白い映画だが、人間コピー機はいかがなものかと不満に思ったが、そもそも、瞬間移動機という非科学的なものを作ろうとした際の副産物であるのだから、全くマイナス要素にはなっていないと気付かされた。
突拍子もないどんでん返しで話を締めくくる反則的なサスペンスも少なくない中、本来のスタイルを披露した正統的なサスペンス映画と言える。
映画の冒頭と最後に使われるマジックの３つの秘訣 “Pledge、Turn、Prestige” とは、サスペンス映画の秘訣でもあるのだろう。
人間コピー機・・・＾＾； ありえないものって厳しいかなぁ・・・。でもきっと良くできたサスペンスなのでしょうね！見てみたいです。
by duke (2008-10-28 22:49)
見方によってはトンデモ映画にもなるし
話が嘘と解釈しても破綻しない編集が凄いです。
by aneurysm (2008-10-29 23:46)
dukeさん、こんばんは。
１年以上前の作品ということもあり、ネタバレ気にせず書いてしまいまして、すみません。
でも、わかっていても充分面白いと思いますので、機会があればご覧下さい。
nice!＆コメントありがとうございました。
by hash (2008-10-30 00:22)
aneurysmさん、こんばんは。
nice!＆コメントありがとうございます。
途中からSFになってますから、その落差が気になるとダメなんでしょうね。
でも、編集を含め、構成がすばらしいので面白いです。
by hash (2008-10-30 00:31)
弊記事へのトラコメ有難うございました。
＞時間軸をずらした構成
この類の構成に批判的と思われている（笑）僕は敢えて玉虫色のコメントにしましたが、本作の場合は、ミステリー性の要求によると思いましたし、倒叙ミステリーとしての効果も出、しかも違った時間軸の往来が煩わしくなかったので、実は評価しているんですよ。
逆に「クラッシュ」は評価していません。あれは時間軸をずらす思わせぶりが＜凄い＞と感じさせた【まやかし】と僕は判断しました。この手の作品は頭の中で時系列通りに整理し直しても感銘させる力があって、かつ、時間軸を崩したことが明らかにその力を倍増させないとダメではないか、と。「クラッシュ」は整理すると大した話ではないと思いましたね。
＞どんでん返しがあって当たり前
「シックス・センス」がパンドラの箱を開けてしまった、しかもヒッチコックが御法度とした【映像の嘘】で。これでサスペンス映画の１０年は完全に失われましたよ。
永久に失われたかもしれないけれど。
＞ラストのオチに意外性を持たせていない作り
その通りですね。
だから、「どんでん返しが読めてつまらない」なんて批判は極めて馬鹿げたものと思います。
そもそも、消えて現れるマジックがテーマなわけですから、本人たちが現れるのは必然。その意味ではどんでん返しですらないですよね。
by オカピー (2008-11-08 01:33)
オカピーさん、こんばんは。
コメント＆TBありがとうございます。
＞時系列通りに整理し直しても感銘させる・・・
全く仰る通りだと思います。
最近は、無駄に時系列を崩した作品が少なくないですね。
今夏の「ダークナイト」も面白かったので、C・ノーランには今後も期待できそうです。
by hash (2008-11-08 21:24)