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ボーン・アイデンティティー [タイトル:ハ行]

The Bourne Identity (2002年)
監督:ダグ・リーマン
出演:マット・デイモン、フランカ・ポテンテ、クリス・クーパー
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80年代に書かれたベストセラー小説を、舞台を現代に置き換えて映画化した作品で、記憶を失くした暗殺者の自分探しの旅をアクション満載で描く。
遥か昔に映画化権は獲得していたものの、長年の間放置されていた企画をもったいないからと映画化したら、予想以上にヒットして、ユニバーサルも大喜びしたらしいが、成功した原因は、原作の初期設定だけを頂き、後はすべて映画向けに書き直したトニー・ギルロイの脚本によるところが大きいのではないかと思う。原作が悪いというわけではなく、長編小説を2時間ほどの映画にすること自体に無理があるので、時代設定を改めるついでに中身も映画用に改めたことが功を奏したのだと思う。
そしてその中身に関しても、無線機や携帯電話など日常的なアイテムを利用して敵の位置を割り出したり、ナイフで向ってくる敵にボールペンで対抗するなど、一種のスパイ映画でありながら、アンチ007的な主人公の姿には共感を覚えやすく、記憶喪失の暗殺者といういかにもフィクションの世界にリアリティを持ち込んだ所が評価につながったのだろう。
一方、一番の見所であるアクション・シーンでは、進化した撮影・編集技術の賜物である迫力満点の格闘、カーチェイス、銃撃戦が展開し、アクション映画の流れを変えた1本であることは間違いない。ジェイソン・ボーンとは対極の位置にあると言える007もダニエル・クレイグ版では、「ボーン・シリーズ」の影響を受けているのは見るからに明らかで、時代の流れとは言え皮肉で面白い。
しかし、このスタイル自体は決して革新的なことではない。身近なものを使って、窮地を脱したり、敵を倒すアクションや芸術的とも言える計算されたカーチェイスは80~90年代のジャッキー・チェン映画では定番のシーンで、それをハリウッド式に焼きなおしたに過ぎない。とても真似できないJ・チェンのすばやい動きや怪我人当たり前の危険な香港式スタントの代わりに、アップの多様や細かいカット割りでスピード感や迫力を表現したのである。
別にこれを非難するつもりなど毛頭なく、技術の進歩により映像表現の可能性が広がり、映画を観る側の楽しみが増えたのだから喜ばしいことである。
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てくてく

当時はマッド・デイモンがアクション物って
すごく意外な気がしたのですが(私だけですかね^^;)
面白いしアクションもすごくて流石、と思いました。
by てくてく (2008-09-10 01:21) 

aneurysm

おはようございます。

このシリーズはカースタントが凄くて
DVDのメイキングも感動しました。
by aneurysm (2008-09-10 09:45) 

hash

てくてくさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
確かにM・デイモンの起用は意外でしたね。
その意外性もヒットの要因になったと思います。
by hash (2008-09-11 00:50) 

hash

aneurysmさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
毎回、お約束のごとくカースタントがありますが、個人的には1作目のパリでのカーチェイスが一番気に入ってます。
by hash (2008-09-11 00:54) 

duke

ボーンシリーズ、大好きなんです。一作目が一番好きかな?え?マットデーモン?え?と観始めましたが、あまりのかっこよい設定にめまいが。以来、マットデーモンが大好きになりました。
by duke (2008-09-15 20:58) 

hash

dukeさん、こんばんは。
2&3はストーリーよりも映像で見せるという感じで、それはそれで面白いとは思いますが、やはり1作目がBESTだと思います。
nice!&コメントありがとうございました。
by hash (2008-09-16 00:26) 

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