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誰が電気自動車を殺したか? [未公開作品]

Who Killed the Electric Car? (2006年)
監督:クリス・ペイン
ナレーション:マーティン・シーン
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1996年、カリフォルニア州で環境保全の為に導入された電気自動車が、10年後には消えてしまった理由を明らかにするドキュメンタリー
アメリカ映画を観ていると、喘息の子供がよく登場するが、実際に80年代のカリフォルニアでは若者の4人に1人が呼吸や肺の疾患を抱えているという調査結果もあったらしい。この原因の一つが自動車の排ガスによる光化学スモッグということもあり、カリフォルニア州の大気資源局は1990年にZEV規制を設け、排ガスを出さない車の販売率を98年までに2%、以降段階的に比率を上げていき、2003年に10%にするよう、自動車メーカーに要請した。
そんな中、GM社の電気自動車EV1が登場し、フォード、クライスラー、日本のトヨタ、ニッサン、ホンダも電気自動車を市場に投入する。
本作を観る前まで、電気自動車は環境には優しいが、コストが高く、性能が劣るというイメージを持っていたが、本作に登場する元ユーザーによれば、決してそのようなことはなく、少なくとも、日常生活で交通手段として車を利用する90%の人にとっては、全く問題がないということ。
では、何故、一般に浸透することなく、消えてしまったのかと言うと、ズバリ石油会社の陰謀となる。そして、石油会社と仲良しの自動車会社、政治家がそれを後押しした。ちなみにブッシュ元大統領、チェイニー元副大統領、ライス元国務長官は皆、元石油会社の重役。
石油会社にとってみれば、電気自動車の普及は利益の減少になるので、反対するのは当然なのかもしれないが、その徹底ぶりが凄い。電気自動車に搭載する燃料電池を開発した会社の株を買占め、潰してしまうなどは序の口で、ZEV規制の生みの親である大気資源局まで丸め込んでしまい、規制自体を骨抜きにしてしまった。
その結果、各自動車メーカーは、電気自動車の生産を中止するだけに止まらず、市場に出た分を全て回収し、新品も含めて廃棄処分した。この白黒はっきりつけるアメリカの徹底さというのは、今回の問題に限ったことではないが、やはり驚かされる。
この後、GMなどアメリカのメーカーは高級SUVと呼ばれる高燃費車の販売に力を入れるのに対し、灰色の存在を認める日本のメーカーはガソリン&電気を使用するハイブリッド車の生産に力を入れる。そして今、どうなったかは、改めて述べるまでもないだろう。
石油の利権を巡る戦争が引き起こした世界規模の不況により、石油を消費することを奨励した企業が破産するとは、何とも皮肉な話である。
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aneurysm

あと、同時期に
サトウキビで走る自動車
も政治的に抹殺されたみたいです。
by aneurysm (2009-07-08 19:49) 

hash

aneurysmsanさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
>サトウキビ
アメリカのコーンに対抗したモノでしたっけ?
やはり、環境よりも政治が優先されるんですね。
by hash (2009-07-09 00:54) 

CORO

これは見応えありそうな作品ですね。
by CORO (2009-07-18 21:45) 

hash

COROさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
GMの現状を考えると、一見の価値はあると思います。
DVDが出ているので、宜しければご覧ください。
by hash (2009-07-19 00:40) 

Yakoha

こんにちは。
こういう事があるんですねー。記事を拝見して初めて知りました。私もレンタルで観てみようかな・・・。(怖い話ですよね・・・こういう話を聞くと。)
by Yakoha (2009-08-03 00:46) 

hash

Yakohaさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
日産がEV車リーフを公開しましたね。
ある意味、タイムリーな作品なので、機会があればご覧下さい。
by hash (2009-08-04 00:14) 

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