ラスト・ソルジャー

大兵小将/Little Big Soldier (2010年)
監督：ディン・シェン
出演：ジャッキー・チェン、ワン・リーホン、ユ・スンジュン、リン・ポン

戦国時代の中国、敵の将軍を捕まえた農民兵が賞金目当てに国へ連れて帰ろうとする道中を描く時代劇。

姑息ながらも優しい主人公の姿はJ・チェンの初期のカンフー映画を、将軍を巡って三つ巴、四つ巴の争いとなる展開は「プロジェクトA」等全盛期の作品を思い起こさせ、懐かしい感じとともに楽しませてもらった。
今回は戦に駆り出された農民兵という役柄だけにあまり強くないので、Ｊ・チェン自身のアクションは抑え気味だが、要所要所で見せるアクロバットな動きは健在で、年齢を感じさせなかった。
代わりに、他のキャストが豪快なアクションを披露するものの、ハリウッドに倣っているのか早割りカットとアップの連続が多用され、中国(香港）式アクションの醍醐味が味わえないのは残念。

それにしても、基本的にコメディ・タッチの流れだっただけに、あのラストには驚き、また何か仕掛けがあるのではないかと最後の最後まで期待してしまった。
構想20年ということだが、農家の三男坊という役柄から考えても、本当はＪ・チェンがもっと若い時期に作りたかった作品で、20年前には作る用意が出来ていたというのが正しい見解ではないかと思う。
全盛期の80～90年代では、あのようなラストはNGだったから作れなかったと思われ、それだけ、Ｊ・チェン自身がこだわったラストだったということなのだろう。