クレイジー・ハート

Crazy Heart (2009年)
監督：スコット・クーパー
出演：ジェフ・ブリッジス、マギー・ギレンホール、ロバート・デュヴァル、コリン・ファレル

落ちぶれたカントリーシンガーが、女性記者との交流を通して復活を遂げる様を描いたドラマ。

実力はあるのに、自らの抱える問題のせいで底辺を彷徨う男が、優しい人々の支えによって、活力を取り戻すというアメリカ映画では定番の物語で、改めて感動を呼ぶような話ではないが、悪人の登場しない（しいて言うなら序盤の主人公だけ）作品ということもあり、心を穏やかにするぬくもりがある。
逆に言うと、主人公の元弟子に対する確執の要因が曖昧だったりと甘い脚本ともとれるのだが、そこはバッググランドとしては最大の武器となる音楽が全てカバーしてくれる。

アルコール依存症で、ライブでも肝心の曲をバックバンドに任せて退場してしまうような駄目人間であるにも関わらず、その人間性や可能性を見捨てず、手を差し伸べる者がいるというのは、現実社会ではなかなかありえないことだと思うが、その一種の御伽噺的精神がアメリカ映画の魅力の一つであろう。

そして、この愛しき駄目人間を飄々と演じ、オスカーを獲得したJ・ブリッジスは、これまでも、映画のジャンルや役の大小を問わず、どんな作品でも存在感を残すことで、長年に渡り厳しい競争社会を生き抜いてきた俳優だけに、業界の酸いも甘いも知り尽くしたような現実味を感じさ、本物のミュージシャンのような風格を漂わせていた。

The Weary Kind

コメント 10

そうそう。
トミーとか悪役設定でもおかしくないのに、
めっちゃ良い奴でしたね〜。最初信じられませんでした^^;
裏があると思いつつ見てた自分を反省しつつ、
いい人ばっかりで心が洗われるようでした〜☆
by ジジョ (2010-07-05 04:42) 

みんなこの映画を観てるな～。
札幌はまだ公開されてないんすよ。出遅れた～。
by 丹下段平 (2010-07-05 23:58) 

ジジョさん、こんばんは。
トミーの善意をバッドがぶち壊してしてしまうのではないかと冷や冷やしました。
オーソドックスな展開でしたが、いい余韻が残る作品でした。

by hash (2010-07-07 00:29) 

丹下段平さん、こんばんは。
オスカー関連作だと言うのに、東京以外は各府県で１館ずつでの上映ですから、寂しいものです。
公開されたら、ご覧になってみてください。
by hash (2010-07-07 00:31) 

主人公は家庭を持つことは出来ませんでしたが、この人に何よりも必要なのは音楽だったのだろうと思いました。

「サンダーボルト」でジョージ・ケネディに腹蹴られて亡くなった青年がついにオスカーゲットで嬉しい限りです。
by テンプラ・ソバ・ニーロ (2010-07-07 20:42) 

こんばんは。
心温まるいい映画でしたね。いわゆるアメリカのいいところが景色も含めてよく出ていたような気がします。
歌もよく、ジェフ・ブリジッスの演技も最高でした。いい気持ちで映画館を出られる映画はやっぱりいいですね。
TBさせていただきます。
by coco030705 (2010-07-07 22:06) 

テンプラ・ソバ・ニーロさん、こんばんは。
全てを得てしまうと出来すぎなので、程よい結末でしたね。
＞「サンダーボルト」
感慨深いものがありますね。
イーストウッド監督作に出て欲しくなりました。
by hash (2010-07-08 23:41) 

coco030705さん、こんばんは。
アメリカ映画らしい作品で、心が和みますね。
やはり、音楽はジャンルを問わず、いい味付けになります。
西洋の俳優は皆、本物の歌手に負けない歌唱力で、毎度のことながら驚かされます。

by hash (2010-07-08 23:46) 

こんばんは＾＾
最大の武器となる音楽・・・、
音楽はやっぱり良いです。
世界共通、言葉は分からなくても伝わるものがあります。
ジェフ・ブリッジスのシンガーぶりも板についていて
もっと聞きたい、と思うシーンもありました！＾＾
by てくてく (2011-01-17 00:59) 

てくてくさん、こんばんは。
音楽の力は絶大ですね。
現在、アメリカで公開されているG・パルトロウがカントリー・シンガー役の映画にも興味津々で、日本で公開されることを期待しています。
by hash (2011-01-18 20:00)