ミリオンダラー・ベイビー [タイトル:マ行]
Million Dollar Baby (2004年)
監督&出演:クリント・イーストウッド
出演: ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、ジェイ・バルシェル
2004年のアカデミー賞において、作品、監督、主演女優、助演男優の4部門を受賞した作品で、女性ボクサーと老トレーナーの魂の絆を描いた人間ドラマ。
本作を映画館で観たときは、上映終了後、しばらく席を立つことができなかった。それくらい重い衝撃を受けた作品だけに、当ブログでもなかなか採り上げることができなかったが、今月末で傘寿の祝いを向えるC・イーストウッドの作品が多数放映されるのを機に、今しかないとやっとその気になれた。
序盤から中盤にかけては、女性ボクシングという異質の世界を舞台に正攻法のサクセスストーリーの様相を呈しているが、ヒロインが瞬く間に成長し、毎試合1ラウンド内でKO勝ちするほど強くなるので、このままではドラマにならないのではないかと不安がよぎる。
そして、ヒロインの憎たらしい家族が登場する場面を機に、その不安は的中し、物語は暗へと転じ、畳み掛けるように悲劇が続き、涙なくしては見られないクライマックスへと突き進む。
疎遠の娘に毎週欠かさず、手紙を出すものの、封を切られることもなく返送されるトレーナーのフランク、トレーラー暮らしの母にファイトマネーで家を買ってあげたのに、感謝されるどころか、生活保護が受けられなくなると非難されるボクサーのマギー、互いの心の傷を埋めるかのように、実の親子以上の絆でつながった2人の短い幸せが絶妙のタッチで描かれる。
いつものように影を多用したショットを効果的に用いながら、優しく奏でる楽曲に乗せて、愛と信頼を簡潔に描き切るC・イーストウッド監督の演出は非の打ちどころがない。
また、前半でさりげなく描いたキャラクター設定を伏線として後半で無駄なく回収していくことで、より感動を高めるポール・ハギスの脚色も見事。
そして、動と静、明と暗を演じ分けたH・スワンク、老いて尚輝くC・イーストウッド、物語の要とも言える重要な役を務めるM・フリーマン、出番は多くないその他の脇役陣も含め、キャストの演技は皆、申し分ない。
スタッフとキャストの総力が結集された紛れもない傑作である。
C・イーストウッドとは30年もの長い付き合いのワーナー・ブラザース社だが、あまりの悲しい内容に製作を躊躇した為、本作ばかりは別会社の製作となり、ワーナーは製作協力に回った。その為、日本での配給が別会社となった関係で、残念ながら、このDVD-BOXに本作は収録されていない。(ちなみにUSA版には入っている)特典のブックレットだけ欲しい。
監督&出演:クリント・イーストウッド
出演: ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン、ジェイ・バルシェル
2004年のアカデミー賞において、作品、監督、主演女優、助演男優の4部門を受賞した作品で、女性ボクサーと老トレーナーの魂の絆を描いた人間ドラマ。
本作を映画館で観たときは、上映終了後、しばらく席を立つことができなかった。それくらい重い衝撃を受けた作品だけに、当ブログでもなかなか採り上げることができなかったが、今月末で傘寿の祝いを向えるC・イーストウッドの作品が多数放映されるのを機に、今しかないとやっとその気になれた。
序盤から中盤にかけては、女性ボクシングという異質の世界を舞台に正攻法のサクセスストーリーの様相を呈しているが、ヒロインが瞬く間に成長し、毎試合1ラウンド内でKO勝ちするほど強くなるので、このままではドラマにならないのではないかと不安がよぎる。
そして、ヒロインの憎たらしい家族が登場する場面を機に、その不安は的中し、物語は暗へと転じ、畳み掛けるように悲劇が続き、涙なくしては見られないクライマックスへと突き進む。
疎遠の娘に毎週欠かさず、手紙を出すものの、封を切られることもなく返送されるトレーナーのフランク、トレーラー暮らしの母にファイトマネーで家を買ってあげたのに、感謝されるどころか、生活保護が受けられなくなると非難されるボクサーのマギー、互いの心の傷を埋めるかのように、実の親子以上の絆でつながった2人の短い幸せが絶妙のタッチで描かれる。
いつものように影を多用したショットを効果的に用いながら、優しく奏でる楽曲に乗せて、愛と信頼を簡潔に描き切るC・イーストウッド監督の演出は非の打ちどころがない。
また、前半でさりげなく描いたキャラクター設定を伏線として後半で無駄なく回収していくことで、より感動を高めるポール・ハギスの脚色も見事。
そして、動と静、明と暗を演じ分けたH・スワンク、老いて尚輝くC・イーストウッド、物語の要とも言える重要な役を務めるM・フリーマン、出番は多くないその他の脇役陣も含め、キャストの演技は皆、申し分ない。
スタッフとキャストの総力が結集された紛れもない傑作である。
クリント・イーストウッド ワーナー35周年記念 35枚組BOX [DVD]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- メディア: DVD
C・イーストウッドとは30年もの長い付き合いのワーナー・ブラザース社だが、あまりの悲しい内容に製作を躊躇した為、本作ばかりは別会社の製作となり、ワーナーは製作協力に回った。その為、日本での配給が別会社となった関係で、残念ながら、このDVD-BOXに本作は収録されていない。(ちなみにUSA版には入っている)特典のブックレットだけ欲しい。
こんにちは。
イーストウッドの作品は、映画好きならやはり、みなくちゃいけないですよね。私も「暗い」という評判に左右され、まだ観ていません。
hashさんのレビューを読んで、観ようと思いました。そのうちレビューいたします。
by coco030705 (2010-05-16 11:38)
NHKで特集されてますね。
私は、そんなに暗いとは思わなかったです。
暗いと評判なのですか?
暗いというより、命とか生きるとか
そういう大切なテーマを取り扱った作品で
ものすごく素晴らしいと思ったんですが
やはり、私って、見所が人と違うんだな・・・ガーン
この作品は、傑作だと思います。
by コッスン (2010-05-16 15:09)
この作品見たときは、本当に重い・・・というのと、監督の
ものすごい気迫を感じたことを思い出しました。
今になってみると、これ以降も全てが今作を超えるほどの
気合い十分の作品ばかりですね。
毎回「前作を超える」というのはそう簡単には出来ないと思うので、
またもやイーストウッド監督のすごさを実感しました。
by トミュウ (2010-05-16 17:31)
coco030705さん、こんばんは。
>みなくちゃいけない
そんなこともないのでしょうが、最近の「グラントリノ」や「チェンジリング」が良かったと思う方なら、本作も観ておくべきだと思います。
by hash (2010-05-16 23:26)
コッスンさん、こんばんは。
明るいか暗いかで言うと、暗いですが、一言で言うなら、重いだと思います。
>見所が人と違う
とても、いいことだと思います。
by hash (2010-05-16 23:29)
トミュウさん、こんばんは。
一昔前までは、最初にオスカーを獲った「許されざる者」が頂点と思っていましたが、21世紀になってからは、傑作を連発していて、本当に凄い方だと思います。
by hash (2010-05-16 23:32)
この作品、僕も観終わってなかなか席を立てなかったです。
悲しい物語でしたが、大傑作でした。
by 丹下段平 (2010-05-17 01:41)
想像ですが、この傑作を撮った現場もいつもながらに淡々と撮り進めていったんだろうなぁ。と思うと、それがまた凄いです。
どうせならアカデミー賞主演男優賞も獲って欲しかったです。
by テンプラ・ソバ・ニーロ (2010-05-17 03:47)
こんにちは。
この作品、クリスマスイブに彼氏(今のダンナ)の家族と見ました。(笑)
終わったあとは、皆「・・・・。」
見るタイミングも必要だと思いました。
by もももんがが (2010-05-17 16:31)
(追加です すみません)
いい映画だったと思います!
by もももんがが (2010-05-17 16:31)
丹下段平さん、こんばんは。
明から暗への転じ方が見事でしたね。
人生を考えさせられました。
by hash (2010-05-18 00:10)
テンプラ・ソバ・ニーロさん、こんばんは。
きっとそうでしょうね。
撮影に入る前に全て構図が出来上がっているのでしょうね。
>主演男優賞
監督と主演男優の同時受賞はないですから、獲っていたら快挙でした。
by hash (2010-05-18 00:16)
もももんががさん、こんばんは。
確かにクリスマスイブに家族と観る映画ではないですね。
その後、無事にご結婚できて何よりです。^^
by hash (2010-05-18 00:17)
こんばんは^^
イーストウッド監督の作品は、
どれもヘヴィに響くので
再見する時にちょっと覚悟がいりますよね。
hashさんのおっしゃること、分かる気がします^^
私も映画館で鑑賞してから、
この間のTV放送まで再見はしてなかったです。
まさに涙なしでは観られない・・・、
今回は何の遠慮もなく、リビングで泣きたいだけ泣きました^^;
by てくてく (2010-05-20 23:22)
てくてくさん、こんばんは。
数年ぶり数度目の鑑賞でしたが、それでも涙腺が緩みます。
また、数年後に観たいです。
>イーストウッド監督の作品
楽しい作品もあるので、機会があればご覧ください。
by hash (2010-05-21 00:18)
え?hashさん今?と思いきや、なるほどそういう事でしたか。。
思い入れ、大切なものは、時間がたってからの方が良いのですね。
これって、実話だって本人登場でTVでやってました。でも脚本違うと思いますけど。見ました?
ボクサーが白人男性の方。トレーナーが黒人男性の方で、結局ボクサー氏がその体験の本を書いた訳です。(確かそうだったと思う)そして・・なんと、その本がある人(←C.イーストウッド)に見初められ、映画化された!それがこの映画!という人生逆転ホーマー的なレポートでした。
by duke (2010-05-23 13:20)
dukeさん、こんばんは。
原作があるのは知っていましたが、実話とは知りませんでした。
トゥール・F.X.氏の「テン・カウント」という短編集の一節と聞いています。
さすがに後半は脚色ですよね。
by hash (2010-05-23 23:37)