SSブログ

ラブリーボーン [タイトル:ヤ・ラ・ワ行]

The Lovely Bones (2009年)
監督:ピーター・ジャクソン
出演:シアーシャ・ローナン、マーク・ウォールバーグ、レイチェル・ワイズ、スタンリー・トゥッチ
lovelybones_2.jpglovelybones.jpg
アリス・シーボルトの全米ベストセラー小説の映画化で、殺害された14歳の少女が、地上と天国の間の不思議な空間に留まり、家族と犯人を見つめているというファンタジー。
何故、少女が天国の手前で留まることになったかと言うと、まだ地上で遣り残したことがあったからで、それは何かというのが本作のメインテーマとなっている。
そして、それは当人も含めて、誰もが考えていたことではなく、14歳の少女らしいことだったというのは、絶望感に満ちた本作の唯一の救いとなっている。
ベトナム戦争最中の70年代という決して明るいとは言えない時代が舞台で、シリアル・キラーなる言葉が生まれたのもこの頃だと思うが、近年流行りのダーク・ファンタジーなる言葉でも表現が足りないほど、映画全体がダークなトーンに包まれており、S・ローナンの青い瞳に拠り所を求めるしかない。
郊外の平穏な住宅街に潜むモンスターの存在という恐ろしい現実を観客に突きつける一方で、「亡くした人のことを忘れないのは大事なことだが、事件に執着しすぎて、自分達の人生を見失ってはならない。復讐は神の手に委ねよ」と犯罪被害者やその遺族に対してメッセージを送る。
悲しい現実をファンタジーに仕立てたという点では前例がないわけではないが、描かれているのは、対岸の火事とは割り切れない出来事だけに表現しようのないやるせなさが残る。


ラブリー・ボーン (ヴィレッジブックス)

ラブリー・ボーン (ヴィレッジブックス)

  • 作者: アリス ・シーボルト
  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2009/12/10
  • メディア: 文庫



nice!(18)  コメント(8)  トラックバック(46) 
共通テーマ:映画

nice! 18

コメント 8

ジジョ

鑑賞中は、どこを主軸に観たらいいのか
よくわからなくて困った作品でした、、^^;
想像とはうらはらなダークさもビックリでした☆
by ジジョ (2010-02-12 02:24) 

てくてく

こんばんは^^
hashさんの記事、
映画の言いたかったことを上手く表していると思います。
すごくやるせない気持ちにさせられました。
でも、スージーの希望が叶ったことで救われた気もしました。
by てくてく (2010-02-13 01:44) 

aneurysm

予告を見てPJ監督の好きそうな話だなと
軽く思いましたが想像を超えた重さでした。
by aneurysm (2010-02-13 10:23) 

hash

ジジョさん、こんばんは。
宣伝から感じるイメージとは違う雰囲気の映画でしたね。
鑑賞後の重たい感じは「ミリオンダラーベイビー」以来のような気がしました。
エンドロールが長くて助かりました。^^
by hash (2010-02-13 20:43) 

hash

てくてくさん、こんばんは。
稚拙な感想ですが、共感して頂きありがとうございます。
スージーの選択は予想外でしたが、ほっとしたのも確かです。
by hash (2010-02-13 20:49) 

hash

aneurysmさん、こんばんは。
>PJ監督
初期の作品を観ていないので、「キングコング」の少女版かなくらいに思っていたので、衝撃は大きかったです。
この機会に初期の作品も観てみたいです。
by hash (2010-02-13 20:51) 

トミュウ

こんばんは。
想像以上にずっしりと来る感じの映画でしたね・・・。
シアーシャ・ローナンはかなり良かったです。
by トミュウ (2010-02-13 22:04) 

hash

トミュウさん、こんばんは。
題材が重いだけに、きついものがありました。
>シアーシャ・ローナン
次回作は「ニキータ」みたいな作品とかで、楽しみです。
by hash (2010-02-14 00:38) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 46

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。