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愛を読むひと [タイトル:ア行]

The Reader (2008年)
監督:スティーブン・ダルドリー
出演:ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、デヴィッド・クロス
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1958年にドイツのある街で出会い、ひと夏の間だけ恋仲になった15歳の少年と30歳を過ぎた女性の波乱の半生を描いたメロドラマ。

2008年度のオスカー候補作も、本作で全て公開となったが、改めて地味なラインナップだと思う。
最も制作費の高い「ベンジャミン・バトン」も決して派手な作品ではなく、劇的という意味で捉えれば、オスカーを獲得した「スラムドッグ$ミリオネア」が一番派手な作品と言えよう。
アカデミー賞とは祭典に過ぎず、時代に反映されるものであり、映画の優劣を決めるものではないことがよくわかる。

批判を覚悟で書かせてもらえば、本作は、80年代に「青い~」というタイトルで何本か公開されたイタリア製性春映画のドイツ版と言ったところだが、ホロコーストにまつわる一件を取り入れることで、悲劇的要素が出しゃばり、あたかも愛の感動作のように云われている。
実際は、まだ若い時期に倍以上の年の差のある女性から性の手ほどきを受け、虜になってしまった為に、同年代の人達との交流が出来ず、精神面の発達が未熟なまま大人になり、法律家という職に就きながらも、まともな判断ができない男と、子供のときに碌に教育を受けることができなかったが故に文盲のまま大人になり、思考よりも感情が優先し、正しい判断が出来ない女、そんな2人の悲しい人間模様であり、ホロコーストは背景に過ぎないので、感動させることが目的の話ではないと思う。
原作を読んだ訳ではないので、当て推量だが、子供の教育は重要であるということが原作の隠れたテーマではないだろうか。

また自分の無知をさらけ出すことになるが、戦後20年も経ってから、ドイツ国内で、ドイツ人により、ナチスの戦犯を裁く法廷が開かれていたことを初めて知り、「ワルキューレ」を観た時と同様、第二次世界大戦におけるドイツのイメージが変わった。その点においては、観て良かったと思えた。
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aneurysm

淡々と話が進みますが話の裏側が重い映画ですね。

by aneurysm (2009-07-05 09:43) 

duke

愛の感動作として持ち上げたいのは日本の配給会社だと思うのですが
こんなにギャップがあっていいものだろうかと思います。
また、ハンナは無教養ですが論理的で、愚かではないと思いました。
by duke (2009-07-06 00:03) 

hash

aneurysmさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
ドイツの歴史ならではの何か外国人ではわからない部分があるような気がします。
その意味では、ドイツ人監督が映画化すべきだったように思いました。
by hash (2009-07-06 00:28) 

hash

dukeさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
正直な所、テーマがよく見えてこない作品でした。
ホロコーストでないのは確かでしょうが、愛の悲劇というわけでもなく、人間模様かなと思い、このような感想になってしまいました。
by hash (2009-07-06 00:32) 

バラサ☆バラサ

ラウラ・アントネッリ映画に言及しているのは、hashさんと私くらいしかいないようですが、あのシチュエーションが長すぎるので散漫な結果になったと思います。
by バラサ☆バラサ (2009-07-07 00:03) 

hash

バラサ☆バラサさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
>ラウラ・アントネッリ
きっと原作者は意識していると思います。^^
>散漫な結果
長編小説の映画化の難しさが表われていますね。
by hash (2009-07-07 00:15) 

Labyrinth

(^_^)ノ こんばんは。
辛口ですねぇ (;^_^A 
このようにハッキリ言って頂くと あ~なるほど!と思います~
私めには ちょっとよくわからない映画だったので・・(苦笑)
共感出来るような話でもなく・・・ 感動とは無縁でしたね~f^_^;
by Labyrinth (2009-07-08 00:36) 

hash

Labyrinthさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
>辛口
すみません。理解できないと辛口になってしまうようです。^^;
ドイツの歴史的背景が鍵ではないかと勝手に解釈して納得させています。
by hash (2009-07-09 00:44) 

クリス

ラウラ・アントネッリですか~。あれは私にとってはコメディなんですよね(って、一作目しか観ていませんが)。
今作は、決してハンナ自身に共感をすることはなかったため、マイケルを理解する作品だと思って観ていました。すると、彼の成長がうかがえて感慨深かったです。
by クリス (2009-07-15 23:49) 

hash

クリスさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
>一作目しか
似たようなタイトルでいろいろありましたね。^^
>共感
私はマイケルにも共感できず、冷めた目で見てしまい、このような感想になってしまいました。
by hash (2009-07-19 00:38) 

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