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麦の穂をゆらす風 [タイトル:マ行]

The Wind That Shakes the Barley (2006年)
監督:ケン・ローチ
出演:キリアン・マーフィー、ポードリック・ディレーニー、リーアム・カニンガム
windshakesbarley.jpgwindthatshakes.jpg
1920年代、イギリスの統治下にあったアイルランドの独立を目指して戦った兄弟の姿を描く。
横暴なイギリス軍を祖国から追い出し、共和国を設立するという目的で始まった戦いが、和平によって一変し、内戦となり、兄弟が敵味方に分かれて戦うことになってしまう。
かつて、恐怖心から仲間を売った若者を、裏切者として処刑しなければならなかった主人公は、自らが捕虜となった時、その責任を負うべく、沈黙を守り、処刑される道を選ぶ。
戦争が単なる殺し合いに過ぎない現実と、理由をつけてそれを正当化しようとする人間の愚かさを端的に描いており、物悲しい。
同時に、9.11以前の社会でテロリストの代名詞とも言えたIRA暫定派の根源を描いた作品とも言え、元は共闘していたもの同士が、互いに戦うようになるという流れが、現代社会におけるテロとの戦いの構図と似ており、争いからは争いしか生まれないのだと感じる。
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コメント 6

duke

カンヌの賞をとてるのですか~。
最後の段落、納得。人が人を殺すのはどんな理由があってもいかんです。
by duke (2009-03-05 11:43) 

hash

dukeさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
いけないことだとわかっていても、無くならないのですから、困ったものですね。
by hash (2009-03-07 00:50) 

てくてく

すごく痛みを感じる映画でした。
アイルランドののどかな風景と、
そこで行われている争いのギャップが痛ましかった。
キリアン・マーフィも良かったと思います。
by てくてく (2009-03-08 07:51) 

hash

てくてくさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
仰るとおりですね。
戦争の虚しさが端的に伝わってくる作品でした。
by hash (2009-03-09 00:55) 

オカピー

TB有難うございました。

戦争からみの映画を見るたびに、人間の愚かさを感じますね。愚かさの根源は弱さ。

僕は映画の技術を語ることが映画評だと思っているので、必要以上にそうした面には触れないようにしていますが、人間の愚かさと弱さについては指摘せずにいられないのですよ。

結局国境なんて言うのは、人間の所有欲を満足する為にあるのですから。人間に所有欲さえなければ、すべての境界は要らない。

この作品の豊かな緑を見ていると、思わず人間という罪深い存在に溜息が出てきますね。
by オカピー (2009-03-09 02:17) 

hash

オカピーさん、こんばんは。
コメント&TBありがとうございます。
仰るとおりですね。
人類の歴史=戦争の歴史と言っても過言ではないですから、人間の弱さはずっと変わっていないと感じます。
by hash (2009-03-10 00:35) 

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