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イーグル・アイ [タイトル:ア行]

Eagle Eye (2008年)
監督:D・J・カルーソ
出演:シャイア・ラブーフ、ミッシェル・モナハン、ロザリオ・ドーソン、ビリー・ボブ・ソーントン
eagleeye_2.jpgeagleeye.jpg
見知らぬ女からの電話で指示に従うよう強要された男女が、理由もわからないままテロ犯罪に巻き込まれていく様子を描いたサスペンス・アクション。
ディスタービア」の監督&主演コンビの作品ということもあり、あまり期待はしていなかったが、意外に面白かった。とは言え、「ディスタービア」が現代版「裏窓」であったように、本作も過去の有名作品のいいとこ取りといった感じの内容なので、決して誉められた作品ではない。
イーグル(鷲)は米国の国章、国鳥であるから、タイトルは「国家による監視」という意味になるが、その恐怖を描いた「エナミー・オブ・アメリカ」を下敷きに、全米各地の監視カメラから集められたデータをスーパー・コンピュータで管理、解析している様は「デジャブ」、そのコンピューターが反乱を起こす様は「アイ・ロボット」と同じで、アクション・シーンはどこかで見たことあるような気がする上に、一般市民が事件に巻き込まれるという設定はヒッチコック作品の定番とも言え、内容的にオリジナリティは皆無と言ってもいい。しかし、それらの要素をまとめて、テロとの戦いという時事問題を取り入れた脚本は、さすがに4人も関わっているだけのことはあると思う。
また、街の電光掲示板や見知らぬ人間の携帯電話に指示を出したり、コーヒーの波紋から音声を拾ったりという小さいことから、クレーンの遠隔操作、無人攻撃機の誘導、戦闘機からの非常脱出などの大きなことまで、やってのけるコンピューター“A.R.I.A”の存在は、もはやSFに近いが、その娯楽性は素直に楽しめる。ちなみに、“A.R.I.A”及び電話の声の主はジュリアン・ムーアらしいのだが、何故公にしてないのだろうと不思議に思う。
その一方で、D・J・カルーソの演出は、S・ラブーフ&M・モナハンの中心キャラにばかり気を取られ過ぎ、R・ドーソンやB・B・ソーントンらの脇キャラが画面から消える時間が長すぎて全体のバランスが悪く、今一歩という感じ。また、前半と後半の2度あるカーチェイスは、最近定番となりつつあるアップと早割りショットの連続なので、迫力は感じるものの、具体的に何がどうなっているのかわかりにくい。
観る分には充分に楽しめるが、決して評価はできないという微妙な作品である。
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コメント 11

丹下段平

観ましたが、僕もhashさんとほとんど同じような印象でした。過去の名作のいいとこ取りで、特にクライマックスは『知りすぎていた男』のパクリでしたね。コンピュータの扱いは『2001年宇宙の旅』なんかも連想してしまったり。仰る通り微妙な作品でした。
by 丹下段平 (2008-11-03 13:32) 

duke

最近、早割りショット、はやってますね。
期待しつつ、まだ見ていないのですが・・・。
by duke (2008-11-03 17:17) 

masktopia

まったくおっしゃるとおりで、まるでデジャブのような作品でしたね(笑)
「ディスタービア」の監督さんも、前作に続いてまたも焼き直しか、なんて
言われてしまいそうです。それにしても、なぜ二作続けてこんなことに・・・

>“A.R.I.”及び電話の声の主はジュリアン・ムーアらしい

そうだったんですか。どうりで機械には聞こえないはずです。


by masktopia (2008-11-03 17:58) 

hash

丹下段平さん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
いろいろな映画が思い起こされる作品でしたね。
>過去の名作のいいとこ取り
こう考えると、充分楽しめるのは当たり前ですね。
でも、やはり微妙です。
by hash (2008-11-04 00:12) 

hash

dukeさん、こんばんは。
>早割りショット
よほど、動体視力の良い人でないと把握できないと思うのですが、不思議と流行ってますね。
DVDで確認しようとする人が増えて、売り上げUPにつながるのでしょうか?
nice!&コメントありがとうございました。
by hash (2008-11-04 00:15) 

hash

masktopiaさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
スピルバーグはまた盗作だと訴えられるかもしれませんね。
J・ムーアの声はセクシーですが、機械的ではないですね(笑)
by hash (2008-11-04 00:18) 

Yakoha

こんにちは。私も先日、面白く観ました。
最後までノンストップで突っ走るスピード感とアクションは
凄いのですが、確かにカーチェイスはわかりにくかったですね。
by Yakoha (2008-11-04 01:13) 

hash

Yakohaさん、こんばんは。
nice!&コメントありがとうございます。
最初から最後まで一気にたたみ掛ける演出は見応えがありましたね。
余計な事を考えなければ、楽しめる作品だと思います。
by hash (2008-11-04 21:43) 

hash

DSilberlingさん、こんばんは。
nice!ありがとうございました。
by hash (2008-11-04 21:44) 

オカピー

弊記事までTB&コメント有難うございました。

面白いもので、近年の作品の類似性は余り歓迎したくないのに、古い映画との類似性は嬉しくなります。
尤も古い作品の場合は、類似と言うよりは本作における「知りすぎていた男」のようにオマージュ若しくは勉強の痕跡であるので「よしよし」と頭をなでたくなる心境でしょうか。(笑)
「ディスタービア」における「裏窓」はちと問題でしたけどね。

>アップと早割りショットの連続
仰る通り、訳が解らんですよ。(苦笑)
最近のアクションは基本的にすべてこれで、きちんと全体像を捉える演出をするのはスピルバーグくらいしかいないのですが、「スピルバーグが監督でなくて良かった」なんてコメントを読むとがっかりします。
by オカピー (2009-11-24 20:18) 

hash

オカピーさん、こんばんは。
>勉強の痕跡
アイディアだけ頂いて、アレンジするのは歓迎ですが、そのまま使うのは、止めて欲しいです。
>アップと早割りショットの連続
最近は、途中に関係ないショットを挟むスタイルもあり、ますますわかりづらくなっているものもあり、意図がわかりません。^^

by hash (2009-11-24 21:30) 

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