オール・ザ・キングスメン

All the King's Men (2006年)
監督：スティーブ・ザイリアン
出演：ショーン・ペン、ジュード・ロウ、アンソニー・ホプキンス

1949年のアカデミー作品賞を取った同名映画のリメイクで、政治の不正を正すべく知事になった男の行末を彼の側近になった元記者の視点で描く。
オリジナルを観たことはないので、このリメイクがどの程度似せて作られているのかはわからない。
汚職を批判していた男が権力を握ったとたんに自らも汚職に手を染めるようになるという人間の欲深さや弱さを描いた作品かと思っていたがそうではなかった。主人公は知事になった後、酒を飲むようになり、浮気もするようになるが、汚職に手を染める様子は描かれてはおらず、結局は、ジェームズ・ガンドルフィーニとパトリシア・クラークソン演じる側近として雇ったライバル候補の手先達に最初から最後まで利用されていただけという趣旨の話であった。このS・ペン演じる知事に関する部分は、前回の都知事選でも同じようなことが起きていたりと、現実の政治と被さっていて、興味深いものがあり面白い。
しかし、この映画において、事実上の主役となっているJ・ロウ演じる元記者の部分は、彼の母親、名付け親、友人、友人の妹が登場して、どうでもいいようなことが描かれたり、訳のわからない行動を取る者も出て、それらを無理矢理、本筋に絡めただけという感じで面白みに欠ける。
結果として何が言いたいのかよくわからない映画になってしまい、オリジナルが高い評価を受けていたのに対し、このリメイク版が豪華キャストの割りに低評価だった理由だけはわかる気がする。

コメント 3

ＴＢ有難うございました。

＞何が言いたいのかよくわからない映画
全くです。
オリジナルの方が、人間は悪に染まり易いものというテーマがはっきり打ち立てていました。元記者の立場が曖昧というのは同じですけれどね。

聞くところによると、リメイクは原作に忠実らしい（オリジナルではアンソニー・ホプキンズに相当する判事は出てきません）ですが、もしそうならオリジナルの脚色は取捨選択に相当優秀だったことになります。
by オカピー (2008-07-06 02:32) 

オカピーさん、こんばんは。
コメント＆TBありがとうございます。
監督はオリジナルを観たことがないそうですね。
機会があればオリジナルを観てみたいと思います。
by hash (2008-07-06 23:23) 

xml_xslさん、こんばんは。
nice！ありがとうございます。
by hash (2008-07-06 23:24)