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チャーリー・ウィルソンズ・ウォー [タイトル:タ行]

Charlie Wilson's War (2007年)
監督:マイク・ニコルズ
出演:トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン
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1980年代、アメリカ下院議員C・ウィルソンが、アフガニスタンに侵攻したソ連軍を撤退させるのに一役担った活動を描く。
脚本が傑作TVシリーズ「ザ・ホワイトハウス/The West Wing」を手がけたアーロン・ソーキンということで、オリジナルではない分、巧妙なストーリー展開は見られないものの、お得意のテンポの早いセリフの応酬は健在で、そこからキャラクターの人柄がうまく表現されているところはさすがで楽しませてくれる。そして、それを演じるオスカー俳優達の名演も見逃せない。
ふとしたことがきっかけで、アフガニスタン情勢に興味を示した一人の議員が、地元テキサスの富豪の後押しを受けて、CIA工作員のアドバイスを元に、アフガニスタンのゲリラ(ムジャーヒディーン)に武器を供給して訓練しようとするが、アメリカが関与していることがばれないようにソ連製の武器を調達する為、パキスタン、エジプト、イスラエルの協力を取り付けるという作戦の内容は、映画でも観ない限り、なかなか知ることもできないだけに興味深い。
そして、何よりも興味深いのがその資金の出所で、上院・下院議会の承認を得ることなく使える予算があり、元々500万ドルだったものが、最終的に10億ドルにまで膨らんでいくことになるという点。
余談になるが、このような表に出ない国家予算というのは、日本にもあると思われ、何に使われているのか知りたくなる。
映画は終盤で、ソ連は撤退したものの戦争により荒廃したアフガニスタンの復興にアメリカは手を貸さなかったことが描かれ、C・ウィルソンの「最後の最後で失敗した」という言葉が紹介される。
ムジャーヒディーンの一部が、その後イスラム原理主義のテロリストとなり、9.11を引き起こしたことは周知の通りだが、この映画で本当に言いたかったことは、ある下院議員の活躍よりも、むしろ「アメリカを攻撃したテロリストはこうして生まれた」ということのような気がする。
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コメント 5

Yakoha

こんにちは。
「アメリカを攻撃したテロリストはこうして生まれた」
・・・なるほど!そういう意味もあったのかもしれませんね。

by Yakoha (2008-05-29 23:09) 

hash

Yakohaさん、こんばんは。
コメディ・タッチに作られていた分、「最後で失敗した」という言葉が強く印象に残りました。
なので、これは風刺コメディだと理解しています。
nice!&コメントありがとうございました。
by hash (2008-05-30 21:29) 

hash

Labyrinthさん、こんばんは。
nice!ありがとうございました。
by hash (2008-06-01 22:18) 

オカピー

ある映画サイトで「反共産主義のアメリカ万歳映画で底が浅い」というコメントを読みました。驚きましたねえ。
 コメントの主は、多分9・11がこの時代アメリカの行ったアフガン支援に端緒があったことを恐らく知らないんでしょう。

今や半ば常識となっているその知識があれば、どこで気付くは別にして、アメリカ万歳とは程遠い風刺コメディと解るはずなのですが。
 僕は最初の表彰式で最後の「しくじった」が見えてしまったので、その意味で過程が楽しめず、残念でした。結末が見えても構わないのですけどね。
by オカピー (2009-05-07 03:06) 

hash

オカピーさん、こんばんは。
コメント&TBありがとうございます。
日本には、まだ風刺コメディを受け入れる土壌がないということなのでしょう。
劇場公開時にお気楽コメディのような宣伝をしていたのも、そのせいかと思います。
by hash (2009-05-07 21:23) 

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