マイティ・ハート/愛と絆

A Mighty Heart (2007年)
監督：マイケル・ウィンターボトム
出演：アンジェリーナ・ジョリー、ダン・ファターマン、イルファン・カーン

ウォール・ストリート・ジャーナルの記者ダニエル・パールが、2002年にパキスタンで誘拐され殺害された事件の顛末を妻マリアンヌが書いた手記に基づいて描いた作品
ダニエル・パールを必死に捜索するパキスタン警察、大使館職員、新聞社の上司らの姿とただ信じて待つしかない妻の苦悩がドキュメンタリータッチで描かれ、テロの恐怖という現在の世界情勢が生み出す社会問題の重さが痛いほど伝わってくる。
主犯の男はアメリカ人なら誰でも良かったと言っていたが、反米、反ユダヤ教を掲げるアルカイダにしてみれば、ユダヤ系アメリカ人のダニエル・パールは格好の標的であり、手の込んだ手法で誘拐していることからも、見せしめとして最初から狙っていたことがわかり、宗教観の違いによる争いの根の深さを感じる。
また、真実を世界に知らしめる為に自らの身をを危険にさらす者がいる一方で、報道の自由を盾にプライバシーを侵害したり、事実を歪曲したりして、対象者を危険にさらす者もいるというマスコミの二面性が描かれていて、報道とは何なのかと考えさせられる。

コメント 2

ＴＢ有難うございました。

率直に言わせて貰うと、イスラム原理主義は怖いです。
アメリカの【世界の警察】的な態度は気に入らないけれど、今のアフガニスタンとパキスタンの情勢を考えると、アフガニスタンは放置できません。

＞マスコミ
もピンからキリまでありますからねえ。
文化人にとってタブロイド紙は新聞ではないですしね。

＞プライバシー
難しい問題でして、柳美里の私小説に関するプライバシー侵害裁判では僕は作家側でした。
あの程度でプライバシー侵害・名誉毀損なら、政治家や役人をモデルにした山崎豊子の社会派小説なんかどうなんでしょう？
いずれにしても、プライバシーが必要以上に取り沙汰される背景は、人間が他者に対して寛容ではなくなったことでしょう。窮屈な世の中になったものです。
by オカピー (2009-02-01 01:19) 

オカピーさん、こんばんは。
コメントを頂いていたことに今更気付きました。
すみません。＾＾；
いろいろと問題提起された、考えさせられる作品でした。
by hash (2009-03-03 01:32)